5月の苑内研修

続けて上嶌がアップします。

毎月の苑内研修ですが、5月は『嚥下と食事介助』がテーマでした。
講師は、歯科衛生士の木下さんです。
木下さんは「嚥下トレーナー」という資格を持っていまして、普段から
ご利用者の摂食嚥下の状態について確認し、食事についても色々
と相談に乗ってもらっています(^o^)
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今回はその「嚥下のメカニズム」について、まずは専門的な内容を
スライドで教えていただきました。
今回のサブテーマが『~おいしく食べるために~』です。
自分たち嚥下が正常な人間というのは、食べる時に「嚥下」を意識
することはまずありません。なぜなら、この動作は人間が生まれて
から死ぬまで、無意識に行われる動作だからです。なので自分た
ちが食事する時は『おいしく』だけを考えれば良いわけです。
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ところがこの嚥下というのは本当に複雑な仕組みになっていまして、
今回は嚥下造影検査の動画など、なかなか見れない画像も見せて
いただき、嚥下困難者の状況というのを具体的に学ぶことができま
した。
嚥下が困難な方は、まず「食べる」ということから考えなければいけ
ませんので、「おいしく食べる」というところまでは、なかなか考えが
至らない現状があります。
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なので、今回の研修は「実際に食べる」ことで、嚥下が難しい人が
「おいしく食べる」とはどういうことか体験を交えて勉強することに
しました。
上下の写真は、それぞれの研修日の、実際の夕食メニューです。
さて何でしょうか?
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上が焼き魚で、下は牛肉の入った煮物系でした。
ペースト食というのは、まず「メニューが何か」が分かりませんね。
何かが分からないと「おいしく」食べることはできません。
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人間はまず「見たり」「聞いたり」した情報でおいしいかを判断します
ので、何かも分からず口の中に入れられると、これはおいしいとか
おいしくないとか言う前に気持ちが悪いです(-_-;)
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交代で介助をし合います。人に食べさせてもらうのは、飲み込む
タイミングが難しいです。
口のどこに入れられるかでも、おいしかったり、気持ちが悪かったり
します。
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「嚥下」は「呼吸」との関連があります。「呼吸」についても理解しない
と「嚥下」は理解できません。
口を開けたまま飲み込めるかなどの実験もしました。
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また、鼻をつまんだ状態で食事ができるかも体験しました。
呼吸と嚥下の関連もありますが、「匂い」が分からないと、なおのこと
何を食べているのかが分からなくなります。
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介助の時に口に運ぶ量ですが、
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やはりカレースプーンでは量が多すぎます。
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自分たちがカレーをガツガツ食べる時なら良いのですが、いきなり
ゼリーがカレースプーン一杯分も口に入ってきたら、飲み込むまで
がとても大変でした(;´∀`)
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基本的にはティースプーン一杯程度、カレースプーンでも半分程度
にするのが適量かと思われます。
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嚥下機能が低下している人は、当然に咀嚼機能も低下しています
ので、なぜその形態なのかを考えながら、介助をしていく必要があ
ります。
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他にも大事なことをたくさん勉強しました(^-^)

「最期まで口から」「おいしく」食べるためには、本当にいろいろな
ことを考えないといけません。
今回勉強したことをプラスして、また今後も「おいしく食べる食事介助」
について考えていきたいと思います。

2017/6/5 更新